2017年3月31日、永久に忘れることのないであろう体験をしました。
オタクになってからずっと追い続けてきたバンド、「日向美ビタースイーツ♪」の東京での初ライブです。
資料映像(TOKYO MXさんがYouTubeにアップしたもの)
・こんなの。最高だった。
「高校二年で罹患した中二病」という最悪のカルマを背負って生きていた三年前、「カタルシスの月」に聴き惚れて以来ずっと追いかけてきた、「日向美ビタースイーツ♪」のライブに立ち会うことができたのです。
今回はその感想をここに記そうと思います。
・ 3/31、東京にて
・何してんだコイツ。ちなみに「鎌田でネット難民」ではなく「ネカフェ難民」でした。
いろいろなツッコミがあると思いますが、僕はひなビタ♪に真剣です。はい。
あと、興味本位で行っていい新興宗教の総本山は天理教までと気づきました。
さて、僕のアホな体験はいずれ書くかもしれないとして、とりあえずライブに限定したことを書こうと思います。
・ライブ参加までの過程
ある秋の日、「それ」は動き始めました。「ひなビタ♪」のライブが開催される、というニュースが流れてきたのです。
ja-jp.facebook.com
最高の瞬間へのカウントダウンは、唐突に始まったのです。
「ライブってなんだろう・・・?何が起こってどうなるんだろう・・・?」
そんな漠然とした思いと、見てみたいという気持ちのまま季節は過ぎ去っていきます。
気がついたら冬でした。
ライブのチケットに当選はしましたが、何をするべきかわかりません。
倉野川の5人は、受験という人生の一大イベントに向けて努力していたころ、僕はぼんやりと不定形で未知の「ライブ」について思いを馳せていました。
春が来ました。メンバーの進路が決まり、卒業式を迎え、そうして・・・
3月30日を迎えたのです。
正直な話単純に驚きました。
はい。白状すると、ライブに向けた心構えなど一切できておらず、気が付いたら日常の延長線上に人生最大の大イベントが待ち構えていたのです。
タイム・リミットに急かされるように列車に乗り込みました。目指すは東京。
ある二留のオタクは言いました。
「ひなビタを追って上京する。シチュエーションが最高じゃないか」と。
そう、このライブは東京でやるから意味があるんです。イブが憧れてたのは大阪でもなくて、東京。ライバルのここなつの二人は、東京からやってきたのだから。
3月31日の朝、数多のオタク、おじさんたちが5人を追いかけて、最強のコンテクストで塗り固められた地、東京に足を踏み入れました。
ちなみに余談ですが、2回目の東京ライブでは「都会征服Girls」が流れると信じていますし、「りんりんせんせーのめつぼう波動砲東名阪蹂躙ツアー」が企画されることを信じています。
・日本はこうなれ。
・不穏
さて、物販に並び、「魔」としか形容できない東京観光ののち、いよいよ31日夕の部が始まります。
開始直前の会場では、モニターにTOMOSUKEおじさんの地上波フリー素材がデカデカと放映されており、ほんわかな気持ちになっていました。しかし、やおら不穏なPVが流れ始めます。
一見、倉野川によく似た古い商店街の街並み。凛花によく似た曲調のBGM、製作陣はTOMOSUKEおじさんとCUTEG様。ひなビタ♪の新しいPVかと思いきや、そこに現れたタイトルは日向美ビタースイーツ♪のものではなく・・・
「バンめし」
とありました。
・「バンめし」予想
次々と映し出される鄙びた田舎町の光景。5人の美少女。
でも、決定的にひなビタとは違う。
なんですかこれは。これはひなビタと同系列のコンテンツじゃないですか。KONAMIはひなビタを裏切るんですか。ひなビタは終わるんですか?
そう思いはしましたが、ステージ上でTOMOSUKEおじさんがひなビタのこれからのストーリーを考えていく旨を明言、何よりもひなビタと関連付けたコンテンツにしたいと語っていたので、やはり「ひなビタ♪」とは似て非なるコンテンツが誕生するのだと思います。
まず、そのテーマ。これはPVの中ですぐ言及されています。
「伝統に縛られたこの町から逃げ出したい。それもできるだけ華麗に」・・・だったかな。(要旨)(うろ覚え)
これは最初に聞いたとき、「こいつらわるいこと言うなあ」と思ってしまいました。
だって、田舎に住む5人の女の子が「エスケープゴート」を語るのです。
ひなビタ商店街を盛り上げるために「町おこし」に取り組む5人組とは大違いです。
ここに、「ちょい悪」と「いい子たち」、それから「郷里からのエスケープ」と「郷里のための町おこし」というテーマの対立構造が現れてきます。
僕は当初、成熟した「ひなビタ♪」が始まったばかりの若い「バンめし」の5人の範となる展開を予想していましたが、このテーマの対立を見る限りでは、むしろそうとは思えません。
「対立する定義」と聞くと「弁証論」と言いたくなるのが人の世の常ですが、「弁証論的なストーリー展開」と一口に言っても、具体的には「どう」展開するか、「どう」2つの物語がかみ合うのかがまだまだ不明であります。
また、「バンめし」の彼女らの取る「エスケープのための手段」も不透明です。おそらくは「音楽」でしょうが、どのような系統の音楽で来るのか、これも続報を待ちたいところです。
ちなみにですが僕が勝手に対立構造だと思っているものとして、日向美ビター「スイーツ」♪とバン「めし」という「おやつ」と「ご飯」の対立構造がありますが、多分これは「バンめし」のリーダーが山盛りご飯をがつがつ食べちゃう感じの女の子だと暗喩しているのでは・・・と思われます。
バカなこと言ってないでライブの所感を書きます。
・ライブでの所感
不穏なPVが終わり、ついにその時は来ました。
舞台袖の、まり花たちの声がします。
そう、カウントダウンは終わりの時を迎え、魔法の時間が始まったのです。
春深く夢の輪郭を ぼかして行き過ぎて舞い戻る ── 「凛として咲く花の如く」より歌詞抜粋
始まりの歌が、全てのきっかけの歌が流れだしました。そして、まり花・一舞・咲子・めう・凛の5人の姿が現れます。
僕の席は真ん中ド真ん前のブロック。訳も分からずブレードを振ります。
なんだこれは。なんでキャラクターが演奏して歌をうたっているんだ・・・?
気がつくと演奏は終わり、2曲目、「恋とキングコング」が流れ始めます。
僕はこのとき起こった光景を一生忘れることはないでしょう。
もう100回は聴いたであろう前奏を「演奏している」間、霜月凛が、山形まり花を見つめていたのです。
工場跡地にサーカス小屋が 建った ── 「恋とキングコング」より歌詞抜粋
歌詞が唇を離れ、東京ドームシティホールに響き渡ります。
それを確認した霜月凛は、何事もなかったかのように、視線を戻し、自分の演奏に没頭したのです。
この一連の所作を見た僕は確信しました。
ひなビタ♪は現実だ
ということを。
オレンジのブレードライトの群れが揺れ、カーニバルの到来を予感させます。
続く「イブの時代っ!」では、パワフルなメロディーに合わせて黄色のライトが大波になって・・・。
「めうめうぺったんたん‼」では、何度もCDで聴いたコールの大合唱。
「とってもとってもありがとう」でしんみりして、ディスクールで生まれてきてよかったなあと思いました。語彙力。
そして、衣装チェンジのお色直しタイム。「司会屋」が伝説に残る邪悪な行動に出ます。
ja-jp.facebook.com
ダメみたいですね。
さて、そのあとはデュエット曲。MV風の映像が凄かったです。
ちくわがドゥインドゥインしているのに興奮して、文字通り艶やかな和装の乙女繚乱を生で見て、エランプシスでつややかな黒髪を掻き上げるりんりんせんせーに心を射抜かれて、そして、あの名曲「走れメロンパン」──。
全てが、本当に最高だった。
そして、ゲストトークのあとの最後の一曲──。
・「レトロ―ド」からの「チョコスマ」
最後の一曲は「ぽかぽかレトロ―ド」。
これは、始めにこのバンドを作った、みんなの心の支えだったまり花の曲で、そして、みんなのためにもう一度作られた曲。
────空の色はころころ変わるけど
個性豊かなメンバーがいて、時にはケンカすることもあった。でも、
いつまでも このまちは変わらないよぽかぽか
見渡せばみんな笑顔でおしゃべりしてる
戻ってくる場所があった。絶対に、絶対にまり花はみんなのことを信じていてくれた。
自分の泣きたいときも我慢して。
だから。ひなビタのメンバーも、ファンのみんなも。
だからこのまちがそう大好き──以上「ぽかぽかレトロ―ド」 より歌詞抜粋
リーダーで、主人公の山形まり花が好きなんだ。そう思えてならなかった。
そうして、涙ぐんだまり花と、メンバーのみんながお互いに素直な気持ちを伝えて、霜月凛が4人に「好き」と伝えて、ライブは終わる。
こうして、静かに幕が引かれ、ライブは終わった・・・。
終わらなかった。
「アンコール!アンコール!」
大合唱が始まった。僕も叫んだ。
でも、ステージに明かりは灯らなかった。
このまま何も起こらなかったらどうしよう。そう思った僕は、「アンコール」と叫ぶのをやめた。
でも、観客たちは叫び続けた。
この、僕だけが叫ばなかった時間を、僕は恥じる。
なぜなら、このとき「ひなビタは現実」という事実を忘れていたから。
まり花たちが、アンコールを背にして去るようなことをするはずがないのだから・・・。
ステージに明かりが灯る。
そうして、正真正銘の最後の一曲。みんなで作ったみんなのための一曲、「チョコレートスマイル」が流れ始めた──。
・ひなビタは現実
「チョコレートスマイル」が流れている間中、僕は必死にブレードを振り続けた。
胸がいっぱいだった。
それは、あとで多くの観客が語ったように感動したからではない。
なぜだかわからないけどただただ「嬉しかった」からだ。
そうして本当にライブが終わって、日向美ビタースイーツ♪のメンバーが去った後、会場に残った全員でこう叫んだのを覚えている。
「最高!!」と。
そのとき、祝福のテープが音を立てて、空から降ってきた──。